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不意に寒気が走った。
優しく、楽しそうだった音色が変わっていく。
(ピアノ……)
声がまた聞こえた。
コッチよ……
ワイワイと賑わっている花子達の声が、遠く聞こえていた。
(花子……ちょっと……)
手を伸ばそうとしたが、体が言うことを効かない。
コッチへキテ……
声とピアノの音色が、だんだんと華子の体に染み渡ってくる。
しかし、不思議と怖い感覚はなかった。
(あぁ……行かなきゃ……彼が来てるもの……)
誰かの心が、自分の中に広がっていく。
華子の意識は、ゆっくりと自分から離れていった。
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