ピエロ1

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ピエロ1

人はどこから来てどこに行くのか。 ピエロは言った。 「僕はピエロだよね?」 「隠すのが僕の仕事だよね!」 さっき僕は駅にいた。 喧騒の音に埋もれたいと街にきた。 たまたま見た浮浪者と目があった。 やにがついた濁った目だった。 そうしたら微かに光が差すここにいた。 そして、ピエロ。 「バーボンでいいかなぁ」 「それともウオッカ?」 何を言っている。ピエロ 「ここはどこだ?」 ”ジーザスカミングスーン・・” 微かな光差すところから歌声が聞こえてくる。 ”ジーザスカミングスーン・・” しわがれた声。 ”神はすぐにでもやってくる” という意味なのか。 声のイメージはあの浮浪者をイメージさせる。 「バーボンでいいね?」 「は?」ピエロの声か・・・ 「ここはどこだ?」 「ここは中。そして外。」 「は?」 「分かりやすくいうと浮浪者の中。」 全然わからないが、浮浪者に取り込まれたって事か。 まま私は不条理な事態でも納得してしまう性癖がある。 不感症なのか危機回避本能なのか、僕はこういった時その事態を受け入れてしまう事がいつもだ。 驚き怖いのに皆からは冷静と思われてしまう。 この時も、その癖が出たのだろう。 でも、まあしょうがない、事実ここにピエロがいて、しわがれたジーザスが聞こえる以上、浮浪者の中と思った方が自分を保っていられる。
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