ピエロ2

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ピエロ2

人はどこから来てどこに行くのか? ピエロは念入りに化粧をした。 「隠すのが僕の仕事」 さて今日はどんなお客さんに出会えるかなぁ。 「あ!ピエロがいるよ~お母さん!」 「どこに?」 「あそこあそこ!」 「化粧してる。隠してる。」 「あぁ 本当だ。」 「gは、本当にいろんなものが見えるねー。」 「お母さんにもそんな時があったのかな。」 「今日の晩ごはんは何がいい?」 「ハンバーグ!」 「はいはい。」 「じゃぁ、はぐれないように手をつないでね。」 「家にかえりましょうね。」 「うん!」 ・・・・・・ gは大人になり自分をGと呼ぶようになった。 (変わらんや…) 彼ができた。 ノナミという。 言葉に飾りがなく初対面のときは怖かった。 ・・・・・・・・ 冬の前の秋とのハザマの季節。 ゆるやかな白曇りの景色。 Gは、ノナミとゆたやかな川の河原を2人で歩いていた。 チェロのような、コントラバスのような、低い音の中に高音が混じる川の音がここち良かった。 2人で歩いた。 語らず。止まらず。 語らず。止まらず。 語らず。止まらず。 ・・・・・・ ノナミの耳から川の音が突然消えた。 ・・・・・・・・・・・・ 「Gね、小さいころ色んなものが見えてたような気がする。」 「特にピエロが好きだった。」 「彼はいつも隠してた。何が恥ずかしいんだろう?って思ってた。」 「あんなに派手なのにね。」 ただ、今でも街中でも、虹色な空気をみた時、感じた時  ピエロを思い出す。
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