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この街にきた時同様、街は賑わいを見せていた。
やたら土産屋が多いように見えるけれど、首都だからだろうか。この国の文化はどんなものだろうか。情報量が多くてついついキョロキョロしてしまう。
「土産屋は寄らないぞ。俺たちの目的は食材だからな。」
「はい……」
キョロキョロしてる僕に呆れながら、デルタが釘をさしてきた。ちょっと見てみたかったのにな……デルタのケチ。
目的の店についた。
デルタが買い物をしている間、僕は店先で大人しく待っていた。
「?」
ふと視線を感じた。僕は今度はそっちが気になってキョロキョロしだす。
(いた……。)
数メートル先に僕を睨みつけている男性がいた。バッチリ目が合わないように目線をそらしつつ様子を伺った。
男は40代に見える。一般人であることは服装から推測できる。もちろん知り合いでは無い。というかそもそも記憶がない。
(なんで僕をあんなに見ているんだ?)
まるで恨んでいるような、向けられていい気のしない目線だ。
「目的達成したから、帰るぞ。」
買い物を終えたデルタに促され、僕たちはその場を立ち去る。
あの人はきっと虫の居所が悪かっただけ、そう思うことにして二人で荷物を持ち掃除屋の屋敷に戻った。
……
「間違いない、アイツだ……。」
ウォーレンの後ろ姿を見ながら、男はポツリと呟いた。
一章:完
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