一日目

10/14
前へ
/17ページ
次へ
まもなく呼ばれた梨波は、一階まで下り、書斎の左隣の部屋に入った。そこは脱衣所となっていて、奥と右側に扉がある。 「あ、湯あみってお風呂の事か……」 「何かおっしゃりました?」 「いいえ何も!」 慌てて服を脱ごうとする梨波。 「ああ、致しますよ」 そういうと使用人たちは服を脱がせにかかった。 「!?」 まさか、お風呂のかけ流しすらやってもらえるなんてそのときは思いもしなかった。 「いたたたたた!!」 「我慢ですよ、リファ様!」 湯あみ後、梨波たちは脱衣所の右側にあった部屋に移動し、ドレスの着付けを行っていたのだが…… 「いや無理だって、ほんとに……っ! いたたたたた!!」 ――ドレスを着る人は皆こんなに努力をしているの? よく皆耐えたもんだよ…… コルセットの締め付けがどうにも辛い。とにかく苦しいのだ。使用人たちは全力で紐を引っ張ってくる。 「お嬢様、このようなことは申しにくいのですが……」 「何!? 太ったって言いたい訳!? 私はずっとこの体型キープしてましたよって痛い痛い!」 「いえ、よく我慢されていらっしゃいますね」 「え?」 「いつもこれくらいになると魔法をお使いになるので……」 ということは、リファータは手魔師の風使い、ということか。どうやら我慢強い方ではないらしい。 思わぬところで彼女に関する情報が手に入った。 「髪はどういたしましょう?」 「えーっとじゃあ三つ編みで……」 「……三つ編み、ですか?」 「? なんか変な事言ったかな?」 「いやあの、聞いたことなくて……」 ――え、この国って三つ編み存在しないの!? どうにか声を抑え、言い訳を考えた。 「あーっと、なんか本で読んだことあって…… 髪は自分でやるから良いです」 「そうですか。では、準備が出来ましたら、下のホールにお越しください」 そういうと、使用人たちは下がっていった。 梨波は三つ編みを済ませると、鏡の前に立って一回りしてみた。 大分コルセットはきついが、こうしてみるとなかなか様になっていた。 「えへへ、可愛い…… あ、そうだ」
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加