一日目

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どこだか分からないけど、辺りは星で満ちている。そんな、宇宙の中のような場所。 少女たちは浮いていた。似た背たけ、似た服装。一人は可愛らしい顔立ちだったが、一人は何故か黒い仮面をつけている。 「どうも」 「こんにちは」 揺蕩う最中、言葉を交わす。 自然の流れに逆らわない彼女らはゆっくりとすれ違っていく。 「どう、そっちは?」 「どうも慣れませんね、何せあの世界から出たことなかったので」 「そっか。私は久々にこっちに来れて懐かしいよ」 「これも、全ては奇跡のお陰なのでしょうね」 どうしてか、今の仮面の少女の言葉は心に刺さった。別段特別なことは言われていないはずなのに、何故こんな気持ちになるのか。 『どうしてそんなこと言うの?』 『さあ、どうしてでしょうね?』 返される言葉はきっとこう。分かってる。 ──自分の心に聞いてみたらどうですか? 「どうして、そんなに酷いこと言うの?」 「私、酷いこと言いました?」 胸の奥がどす黒く、漆黒に染まっていく。 そこで彼女の記憶は途切れた。
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