二日目

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「……」 今の私は、リファータ。 いつ元の世界に戻れるかは分からない。もしかしたら一生このままだって可能性もある。それでも今のこの現状を受け入れるしかない。そう、一種の諦めが着いた頃。 ──コンコン 「何……?」 今、ノックの音がした。しかしそれは明らかに扉の音ではない。木材質な音ではなく、硝子の叩かれる音。確かに窓はあるにはあるが、ここは三階だ。 ──もしかして、幽霊とかそういう類!? またノックの音がする。恐る恐る窓を覗いてみると、そこには見知らぬ男子がいた。年の頃はそう変わらないように見える。どこかライカに似た彼は、まるで魔導師が着るようなローブを着て、笑顔で手を振って浮かんでいた。 「!?」 咄嗟に窓を開ける梨波。彼はそのまま窓枠に腰掛けた。 「こ、ここで何してるの!?」 「何って、いつも通りに君を誘いに」 「……?」 「え、わかんない……?」 ──怪しまれている。確実に。 彼は感が良いらしい、どうにかして誤魔化さないと。そう思ったとき、丁度次は扉がノックされた。 「リファ様。朝食のお時間となりましたので、食堂までいらして下さい」 ここぞとばかりに返事をしようとしたが、彼は許さず、梨波の手を引いた。 「え、ちょっと何して」 「朝食終わったら部屋に来て。僕の家に行こう。話はそれから」 「……」 「待ってるから」 静かな、どこか落ち着くブルーベルの瞳に見つめられる。 「……リファ様? 開けますよ?」 「っ、はい、今行きます!」 慌てて彼の手を払い、ドアまで駆け寄る。 窓をちらりと確認してみると、どこへ姿を消したのか、既にいなくなっていた。
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