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一日目
暗い。けど、なにも見えない訳じゃない。
いつもと違う家の色。普段は暖かい、優しい色をしているのに、なんでこんなにも暗くて、寂しくて、寒いの?
誰か、いないの?
叫んだ。誰かがいてほしい。聞いてほしい。この寂しい気持ちをどうにかして消したかった。
『――?』
私の家族が呼んでる、私の名前。
ああ、良かった一人じゃない。でも、暗い気持ちは一層深まる。それはまるで、闇へ落ちていくかのように。まるで、家族の元へ戻るのをなにか見えない逆らえない何かが阻むように。
怖い、怖いよ、ねえ、誰か私を治して。
どうしてこんなに真っ暗なの? どうして皆私を変な目で見るの? どうして皆して私を避けるの? 逃げないでよ。
そこで気付いた。私の声は全く届いていない、別の声が家族には聞こえてるんだって。意志とは関係なく勝手に口が、手が、体が、動いている。
とうとう一番仲が良かった子までもが逃げていく。
苦しい。この悲しみは、誰に伝えればいい? 誰が分かってくれる?
家は相も変わらず暗くて寒い。
私は、虚無だ。
「っああああああああああ!!」
絶叫。誰の?
自分だ。
痛い、痛い痛い痛い!
途切れる意識の中、ただただ寒いと、そう思った。
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