恋は夕焼け空と星空の下での巻

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 その後、二人は彼らの熱誠を具現化するような猩紅に包まれた儘、それと見紛うばかりのスカーレットレッドの唇を合わせた。  圭太は仮令、苛めっ子が見ていたとしてもそうしただろう。彼はもう雨が降っても槍が降っても、ちいちゃんを手放すことはないのだ。  夕闇が過ぎ、夜の帳が下りた後も二人は空腹を忘れてブランコに座り続けた。ファンタスティックな夕焼け空の次はファンタスティックな星空が二人を一層ロマンチックにした。 「満天の星空だね。」と圭太がアラビア砂漠の夜空の星々を従えるシリウスのように瞳を煌めかせながら言うと、「ええ、星が降るようだわね。」とちいちゃんも瞳をインド洋の夜空の星々を従えるサザンクロスのように煌めかせながら答えた。 「僕はおうし座なんだ。」と圭太が東の夜空を眺めながら言うと、「私もそうなの!凄い偶然ね!」とちいちゃんも東の夜空を眺めながら答えた。 「へえ~そうか、そうすると、僕がゼウスでちいちゃんが美少女のエウローペーだ。」 「それってギリシャ神話のこと?」 「うん、そうだよ。」 「で、二人はどうなるの?」 「ゼウスがオリンポス山から浜辺で遊ぶ乙女たちを俯瞰して、その中でも群を抜いて美しいエウローペーに恋をしてね、白い牡牛に化けてエウローペーに秘かに近づくんだ。」 「それから?」 「エウローペーが白い牡牛を気に入ってね、なでなでしてやると、白い牡牛は喜んでね、従順に振舞うんだ。それを見て安心したエウローペーが白い牡牛の背に乗るとね、その途端、白い牡牛は勢いよく海に入って猛スピードで泳いで行ってクレタ島まで行ったんだ。」 「それから?」 「元の姿に戻ってエウローペーと大人らしいことをするんだ。」 「大人らしいこと?」 「うん、僕らもそうなるんじゃないかな。ひっひっひ。」 「まあ、やらしい。」  二人は星辰のように輝く顔を合わせ、親の心配を余所に永遠の愛を約束されたようにいつまでも笑い合うのだった。
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