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圭太は全く願ってもない事になったので浮き浮きしていると、ちいちゃんが見本を見せる為、水切り笊の中から新玉葱を取り出した。「あっ、これ、良原君が皮剥いた奴でしょ。」
「えっ、あっ、確かに、お~当たり~!」と戯けて言う。
「ふふふ、大袈裟ねえ。」
「いや、だって見ただけで誰が剥いたか分かるなんて凄いなあと思って。」
「だって、私は絶対こんなに沢山、剥かないもん。」
「ああ、そうなの。」
「そうよ、玉葱はねえ、表面の方に栄養が一杯有るからこんなに剥いたら駄目なの。」
「へえー、そうなの。角谷ってやっぱり、すご~い、物知りなんだね。まるで料理教室の先生みたい!僕、感心しちゃう!」と亦、戯けて言う。
ちいちゃんは笑いながら、「良原君、これから包丁持つんだから、もうちょっと真面目にしないと駄目よ。」
「はい、分かりました。以後、気を付けま~す!」と圭太は戯けながらも、ちいちゃんにさっき、素直になるようにと言われていたので素直さを誇張して返事をした。
ちいちゃんはそれに応えて先生気取りになり、「よろしい。では、やって行きますからね。」
「は~い!」
「余りふざけてたら駄目よ。」
「はい。」
圭太は此処までは、まあ良かった。が、「まずねえ。先生が言われてた様にこうやって芽と根を切り落とすの。やってみて。」とちいちゃんが見本を見せ指示してから圭太の素直は忽ち何処かへ吹っ飛んで行き、駄々っ子圭太の暴走が始まった。
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