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序章
「なぁシノ、ここうまく外したよな?」
縁の欠けた耳を見せると、
「…ああ、それ…外したんじゃなくて、たまたまだ…」
「た…たまたまだと?」
驚く俺を尻目に、
「ああ…あの時、急におまえが大声出すから、ビビって撃ったんだ。咄嗟に銃口をずらすのが精一杯で、あのまま撃ってたら頭ぶち抜いてたかもな?」
ちょっと舌を出して見せるのに、
「おいおい、それじゃ即死かよ? 物騒だな…」
笑うと、
「……ハハ、嘘だよ。俺が、おまえを死なせたりするはずないだろ?
こんなに、愛してんのに……」
唇が触れ合って、キスを交わして、
「……ん…なぁ、シノ…」
「……なんだよ、まだおまえとキスがしてたいのに…」
ちゅ…うっと、そんな風に甘く誘うシノの口の中に、舌先を潜り込ませると、
「ん……俺も、シノとキス…してたいけど……」
深く舌で探り合いながら、自分の耳を片手で触って、
「……ここに、ピアス付けようかと思ってな…」
言うと、「ピアスって、なんだよそれ?」シノが唇をつと離して、俺の耳元を覗き込んだ。
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