序章

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「俺の耳の記念碑(モニュメント)だって」 「だからなんだよその、耳の記念碑って」 「……言っただろ? おまえに助けてもらった思い出を残しておきたいからだって」 「それは聞いたけど。だからなんで記念碑なわけ?」 「だからなんでって、なんでだよ? 全部言わないとわからないのかよ……」 葵が言いながらみるみる赤くなって、 「……おまえに助けてもらった時の、この耳の傷を残しておきたいからだろ……その、なんて言うか……初めて俺への愛を、感じてくれた時だったし……おまえが……」 言い終える頃には、真っ赤になった。 「なんだそれ……」 「なんだそれって、なんだよ……」 目の縁を仄かに赤らめて、上目に俺を睨むようにも見る葵を、 「…………かわいい、葵。めちゃくちゃかわいい! それにうれしい!」 ぎゅうと抱きしめて、 ピアスの付いた耳元に、ちゅっと唇を寄せると、 「……や…恥ずかしい…だろ…」 と、これ以上赤くなれないっていうくらいに、葵が赤くなって照れまくった。
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