二章

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「わかったから…シノ」 肩口に置かれた手に自分の手を添えて、 「……約束する」 ぎゅっと上から握り締めた。 「だからシノ、もし俺がその約束を(たが)えることがあって、泣いておまえに縋るようなことがあったら……」 彼の方へ向き直って、 「……突き放せ」 告げた。 たぶん俺の言ってる言葉の意味が篠崎になら伝わっているはずだった……もし俺がまたクスリに溺れるようなことがあれば、容赦なく突き放してくれていいからと、 俺にはその可能性がまだ充分にあり得ることを、彼もわかっているはずだった。 「……。……わかった」 短い沈黙の後で答えて、 「……守れよ、俺との約束」 と、口づけた。
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