二章

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「んんっ……葵……ほんっと…に…?」 切なく上がるシノの声に、 「……本当に、決まってるだろ…」 根元までを咥え込んで、一気に啜り上げた。 かつての温泉での巽との性行為が一瞬浮かび上がるのを、頭から振り払って、 「……シノだけが、好きだって……」 口にして、ねっとりと透明な粘液の溢れ出る亀頭を唇で挟み吸い上げて、舌で切れ込みをねぶると、 「あっ…う…葵…俺もっ……おまえだけが……あぁっ! ん…イっく……!」 シノが顎を仰け反らせ、ドクンと口の中にもう何度も味わった苦い青臭さが広がった。 「……シノ、俺は、シノだけだからな……」 自身の頭に刷り込むようにも繰り返して、グッとそれを呑み下し唇を重ねたーーだが、 その頭の片隅には、 『公判が始まったらまた、嫌でも思い出させられるな…』 という言葉が消せないまま引っかかっていた。 公判が始まれば、俺も証人として駆り出される……そうしてレイプとドラッグの事実を、白日の(もと)に晒される。 その時、俺は正気でいられるんだろうか……と、感じていた。
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