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「んんっ……葵……ほんっと…に…?」
切なく上がるシノの声に、
「……本当に、決まってるだろ…」
根元までを咥え込んで、一気に啜り上げた。
かつての温泉での巽との性行為が一瞬浮かび上がるのを、頭から振り払って、
「……シノだけが、好きだって……」
口にして、ねっとりと透明な粘液の溢れ出る亀頭を唇で挟み吸い上げて、舌で切れ込みをねぶると、
「あっ…う…葵…俺もっ……おまえだけが……あぁっ! ん…イっく……!」
シノが顎を仰け反らせ、ドクンと口の中にもう何度も味わった苦い青臭さが広がった。
「……シノ、俺は、シノだけだからな……」
自身の頭に刷り込むようにも繰り返して、グッとそれを呑み下し唇を重ねたーーだが、
その頭の片隅には、
『公判が始まったらまた、嫌でも思い出させられるな…』
という言葉が消せないまま引っかかっていた。
公判が始まれば、俺も証人として駆り出される……そうしてレイプとドラッグの事実を、白日の下に晒される。
その時、俺は正気でいられるんだろうか……と、感じていた。
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