三章

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伸ばした指の先が、つと誰かの肌にあたって、 ドラッグをやる度に俺を抱く巽の体だろうと感じて、 「…………抱いて。したい……」 いつものようにねだった。 その俺の声に、 「……えっ?」と、驚いたように返る声があって、 ドラッグにもたらされる快楽に恍惚として閉じていた目蓋を開いた……。 ……と、そこには篠崎の顔があって、 「……葵? どうした……?」 と、尋ねられた。 「え……シノ…?」 一瞬、どっちが夢だったのかもわからなくなって、 「……あっ…シノ………俺、今クスリを……」 思わず口にすると、 「……なんだって?」 聞き返されて、 「……おまえは、ずっと横で寝ていただろう?」 と、言われた。
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