679人が本棚に入れています
本棚に追加
ベッドに一人取り残されて、見ていた夢をもう一度思い起こそうとして、
…………俺が見ていた夢は、まさか……と、ふいに気づくと、
「うっ…うああぁぁ……」声にならない声が喉を迸った。
「どうした、葵っ!」
篠崎が駆け戻って来て、顔を見下ろす。
「……シノ…シノ…俺は、俺はまたクスリをっ……」
真上にある服を両手で必死に掴んだ。
「……違うっ! 葵! 夢だ、それは! しっかりしろ…な?」
服を握り締める俺の手を解き、自分の手に堅く握って涙声で言い聞かせる。
「……夢? いや、俺はまたドラッグを……」
「……違う、違うから……熱で悪い夢を見ただけだ……だから、大丈夫だ…葵…」
身体がきつく抱えられて、「……心配すんな…今、熱を冷ましてやるから……」手の平で前髪が掻き上げられ、氷の詰まった氷嚢が乗せられた。
最初のコメントを投稿しよう!