犬のおばさん

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「お客様には礼儀よくしないといけない」と 家族から教えられていた為 私は一瞬怖いと思った気持ちを抑えて その女性に軽く挨拶し、 「可愛いワンちゃんですね」と言って 祖母に普段通り話しかけてから 店を出て祖母よりも先に家へ帰った。 帰宅して早々、母に 「お店に変なおばさんがいた!」 とやや興奮気味に説明したところ 母は興味深々な様子で、 あたかも祖母に用事があったと装って ママチャリで急いでお店へと向かって行った。 「もしかしたらそのお客さんもうお店にいないかもね」 なんて言って家を出て行ったが、 店へ着いた時には まだその初老の女性が椅子に座っていたそうだ。 黒いアイライナーで囲われた鋭い眼光、 フリルの派手な服装。 その見た目から母も驚きを隠すのに 必死だったと後々話していた。 その日、祖母と母は2人で家で帰ってきた。 晩御飯の時はその女性の話でもちきりだった。
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