図書館に棲む落ちこぼれの神様

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 どうしようかなと、ベンチに座ってぼんやりとしてしまう。図書館はキャンパスの外れで、しかも大学の敷地の向こう側は京都御所だから、とても静かだ。街の喧騒も届かない。 「はあ」  おかげで、少し気持ちが落ち着いた。空を見上げると、三日月が浮かんでいるのが見える。しかし、星はそれほど見えない。やっぱり静かでも都会だなと、そんなことを思う。 「あ、奥山君」  そうやってぼんやりとしていたら、何と悩みの原因の寺本が通りかかった。そして笑顔でこちらに近づいてくる。愛佳は思わず飛び上がっていた。 「先生。その」 「ああ。静嵐とはまだ喋れていないのかな。ま、無理もないか。愛想ないだろ」 「え、ええ」  頷くのもどうかと一瞬思ったが、取り付く島もないのだから、頷くのが正解だろう。 「仕方ないんだけどね。どうにか、俺は他の人とも付き合うべきだと思うんだよね。このままは――本当に良くない」 「はあ」  そんなに心配なのかと、愛佳は首を傾げてしまう。今時、友達を作らない人だって珍しくないと思うのだが。というか、そういう人でもSNSには友達がいたりするし。 「あ、そうだ。これから図書館に入るんだけど、一緒にどう?」 「え、ええっ」  今、出てきたばかりなのに。それにちょっと気まずくなってるのにと、愛佳は驚く。
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