図書館に棲む落ちこぼれの神様

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「僕が間に入って、会話のきっかけを作るよ。どうやら奥山君にはずいぶんと悩ませてしまったようだからな」 「うっ」  そのとおりですと、愛佳は顔を赤らめる。あれこれと考え、何か会話のきっかけはないかと探ってみたものの、完璧なまでに隙がなかった。ついでに言えば、気安く声を掛けられるタイプでもなさそう。  先ほどの視線を考えれば、邪魔だと思っているのではないか。さっさとどっか行けと思っているのではないか。そう心配してしまう。 「ははっ。それならば僕に奥山君のことは言わないと思うけど?」 「うっ」 「静嵐がね。毎日のように戦国時代の本を読んでいる子がいるけど、お前のところの学生じゃないのかって」 「お、お前?」  叔父さんに向かってと、なぜかそこに驚いてしまう。そんな愛佳の反応に、寺本は苦笑する。どうやら驚いたポイントを勘違いされたらしい。 「へそ曲がりなんだ」 「は、はあ」  やはり、勘違いしている。愛佳はこの寺本のマイペースさに驚いていた。さすが、第一線で活躍する研究者と言うべきか。 「だからさ。君から声を掛けてくれるの、待ってると思うよ。彼は、自分では声を掛けられないんだ」 「え?」 「――へそ曲がりだからさ」  今度は、へそ曲がりというまでに僅かに間があった。それが、なぜか気になる。 「あの」 「行く?」 「え、ええ」
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