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【第3章】転校生
「ミシェル。転校生来るの、聞いた?」
「え?始業式はこの間終わったじゃない。5月に転校生とか聞いてないわよ。」
なんでこんな時期に転校生が来るんだ、そう議論しようとしたところにミレイが来て、こう言った。
「転校生、巡野小から来るんですよ。」
「え。」
ミシェルは青ざめた。
巡野中は98年前までミシェルたちが『魅せていた』場だった。
するとロディが来て、なら知り合いとか来るんじゃないの。と言った。
みんながクスッと笑った。
「人間の寿命は約80年よ。アタシらみたいに何万年も生きないわよ。
仮に生きてたとしてもその子が小学生だと思うの?」
「キャットの言う通りです。ロッドはもう少し地球の人類のことについて学びましょうか。」
キャットのド正論にさらにミレイが丁寧に傷口に塩を塗った。
「…まあ、アタシたちが巡野にいたときの子の孫…とかならあるかもね。」
「もうこの話やめよ。」
「ミシェル…?」
ミシェルは不満そうに親指をかじった。
「巡野で『魅せて』いたときの私なんて…知らない。」
ミシェルは走った。
ドアを開けると丁度イロハとアロハが第2職員室に来ていた。
第2職員室とはミシェルたちのように子どもを守るパワーの持ち主の休憩場のようなところである。また、ここで悪魔の対策について考えたりする。
「イロハ、アロハ。そこ、のいて。邪魔。」
ミシェルはイロハとアロハを押しのけた。
「ミシェル…?」
「どうしましたか?ミシェル、かなり不満そうでしたが。」
イロハは心配そうにみんなに問掛ける。
「…もしかしてあんたら、今度来る転校生の話したんじゃないでしょうね?」
アロハは若干おこっていた。
「え、ダメだった?」
ロッドは困った表情でそう言った。
「ミシェルはあの時のこと、まだ根に持ってるのですか?僕はそのことあんまり知らないんですけど。」
「なにそれ、なんのこと?ミレイ、ねえ。」
「ロッドは知らなくていいことです。」
「アタシ、ミシェルのとこ行ってくる。」
キャットは走ってミシェルを追いかけた。
「…巡野から来るってこと、誰が言ったの?」
アロハは怒りの表情を抑えて必死に笑顔を見せた。
「僕です。すみません。」
「嘘、ミレイが言ったの?あんたは事情知ってるくせに…」
アロハは手を伸ばした。
アロハの手からは剣がでてくる。その剣をミレイに向けた。
みんなは焦った。
「ちょっとアロハ。やめてください!」
イロハはアロハの手を止めた。
「イロハ。ちょとだまってて。」
アロハはイロハの手を払おうとする。
「やめてください!」
イロハは叫んだ。
ミレイは少し驚いていたが、冷静だった。
アロハは剣をしまい、ミレイの方へ歩いた。
バシッ!
アロハはミレイの頬を思い切り叩いた。
事情の知らないロッド、ロディは凄く驚いている。
「…私、フェリシアとエリーゼのとこ行ってくるから。」
アロハは第2職員室を出た。
イロハも焦って着いていく。
それから数分間沈黙が続き、ようやくミレイが喋った。
「僕、昼寝してるアレンを起こしてきます。」
ミレイもどこかへ行った。
第2職員室にはロッドとロディだけが残って、困った表情で顔を見合わせた。
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