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入れ替わるように式場の係員が控室を訪れる。
「お時間でございます」
お迎えが来たわ――
黒龍を手にできなかった。望みは叶わずにその時は来る。
ドレスの裾を持ってもらい、ホテルに隣接されたチャペルへと向かう。チャペルの入口の扉は閉まっている。
『愛してる』
目を閉じると翔真の声が聴こえてくる。だけどこの扉が開かれれば、それも終わり。
「お開け致します」
両扉が左右に開く。純白のウェディングドレスの裾を広げて赤い絨毯の上を進む。左右に私達を祝福する為に来客が訪れている。
横に控えていた亮平叔父様の腕をとり、新郎の元へと歩みを進める。
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