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「さっさと終わらせるぞ、律」
「仕方が無い。急ぎましょうか」
水姫と離れている時間がもどかしい。また独りで泣いていないだろうか。
「これはまた、邪魔なものを」
律のデスクには、女性社員からの差し入れや贈り物が頻繁に置かれている。
「これと…… これは暁のぶん」
紙袋になにやらガサガサ詰め込んでいる。
「俺はいらない」
「暁」
律は紙袋を、俺のデスク上にドンッと置く。
「暁はもっと、他人にも優しくするべきだ」
「律が優しすぎんだよ」
お前みたいな綺麗な顔に優しくされてみろ。女は皆、勘違いをするぞ、間違いなく。
俺は、たった一人の女がいれば十分だ。
仕事を終えて、ホテルCandytuftへと向かった時には、既に夕刻になっていた。水姫の様子をホテルマンに尋ねたが、部屋からは出ていないらしい。
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