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「や… あ…っ」
水姫の吐息が上がる。逃げようとする身体を片手で抱いて、幾度か滑らした先にゆっくりと指を差し込む。
「…ぁあ…っ」
溶けそうな中、小刻みに指を動かすたびに水姫がしがみつく。そう、もっと俺を思い出して。
「やぁ…!…ぁあっ」
可愛い声で啼く。水姫の瞳が潤む。奥深く侵入させると俺の腕に水姫がさらにしがみつく。可愛くて仕方がない。
「速水さん……」
「暁だ。ベッドで色気なく呼ぶな」
もう、止めて……
息を切らして懇願する表情が愛らしくて、心が奪われて行く。
「――いいよ」
お前を抱く時間はこれからいくらでもある。
「速……」
「暁だろ。まだされたい?」
俺の中にもあった、独占欲に気が付く。水姫を腕の中に閉じ込めておきたい。
「あか……つき」
泣きそうな表情で俺の名前を呼んだ水姫が、たまらなく可愛い。
「暁は…… 私に興味なんて無かったくせに」
思い切って顔を上げた水姫に、俺は一瞬戸惑って、すぐに吹き出した。
「おいで、水姫」
躊躇いを見せる水姫を抱き寄せる。
「大事にしてやる」
他の男に心を残しているなら、これからゆっくり俺で埋めていけばいい。
水姫、愛しい婚約者――
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