薔薇[最愛]

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薔薇[最愛]

【side_水姫】   お見合いをして欲しい――? 「そんな、叔父様。無理です」 思わず私は声を高くして、首を横に振った。 「水姫(みずき)に頼むより、手が無いんだ」 目の前で頭を抱えて悩んでいるのは、亮平(りょうへい)叔父様。  柱時計がカチカチ音を刻む。書斎を兼ねた部屋には亮平叔父様と私の二人だけ。  此処は古いけれど、亮平叔父様の所有する、洋風外観のお屋敷。学生時代に両親が他界してから、私は叔父様のところに御世話になっている。 「何度頭を下げられても無理です」 「形だけでいいんだ。後はまたどうにかする」 そんなに必死に頼まれても。どうしよう。 「早苗さんを説得は? されました?」 亮平叔父様は困った表情ばかり浮かべて、大きなため息をついた。 「一切連絡が取れなくなった」 逃げたのね…… 早苗さん。
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