Candytuft[甘い誘惑] 

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Candytuft[甘い誘惑] 

【side_暁】    何故、泣いてる? 腕の中泣きじゃくる水姫をなだめていた。  か細い肩が小刻みに震える。涙で濡れる瞳が揺れる。その表情を見ていたら、抱き締めずにはいられない。 「……座れ」  水姫を横に座らせる。まずは落ち着かせよう。此処は取引先だ、自社じゃない。 「どうした?」 視界に入って来たのは、先程の宣材写真。……彼か。なるほど、そういうことか。 「……帰るぞ、水姫」 此処での用件は済んでいる。  水姫の腕を取り会議室を出る。自社の営業マンに後を託し、北川に車を出させた。 「ごめんなさい、お仕事の邪魔をして……」 上目遣いに謝られたら、怒る気は削がれる。 「暁様、どちらへ」 「そうだな…… Candytuftへ向かってくれ」 自社ホテルの名を北川に告げる。
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