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Sanvitalia[私を見つめて]
【side_水姫】
北川さんに肩を抱かれて、胸を少しだけお借りして泣いてしまった。1年振りに翔真と再会をしたのに、一言さえも話せなかった。
「本当に大丈夫なんですね?」
北川さんの両手が頬を包み込んで私の顔を覗き込む。
もう大丈夫、泣いちゃだめだ―― そう思った瞬間、北川さんの顔が傾いて、頬に唇がふれた。
「――っ」
ふれた、というより、頬にキスされた。
「な、え……あれ?」
動揺して私はしどろもどろになったけれど、北川さんは至って冷静で、にっこりと微笑んだ。
「涙止まったでしょう」
大人の余裕を見せる笑みに私は硬直。
くすくす笑った北川さんに連れられて、またパーティー会場へと足を踏み入れた。緊張する思いと、もう一度翔真に会いたい気持ちが交差する。
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