夜明けの散歩

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10 : 20 a.m. 僕が尾行を終えて二階の部屋のベッドで横になっていると、母がドアをそっと開けて入って来た。 「ねっ、それで?」 僕が家に戻ったのが7時前である。少々仮眠し過ぎてしまったようだ。母は急かせたが、お腹が空いたので台所で遅い朝食を食べながら話すことにした。 「父は?」 「さっきほんとの散歩に出かけたわ」 「そうか。やはり徘徊の記憶はないのか?」 僕はトーストと目玉焼きとバナナ。それに牛乳とコーヒーの並んでいるテーブルについて、それを食べながら母にその様子を話した。 手元には探偵の真似事としてスマホのアプリに書き込んだメモとカメラがあった。 [メモ] ゴム手袋、シャベル、洗面器。(所持) 長靴とパジャマ姿で20分程町を徘徊。 04 : 30 a.m、鉱山方面の川の下流に到着。 夜が明けると、薄暗い川面を見つめていた。 そして父は掛けてあったハシゴから下に降り、川の水と砂利をすくうこと50分程。 その間、タバコ休憩を数回挟み、岩に座り込んでボーッとする事あり。
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