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夜明けの散歩
帰省した1日目の夜。
03 : 50 a.m.
僕は夜明け前に起きると外出着に着替え、カメラを持って二階の階段から父が徘徊するのを見張っていた。
するとその約10分後、一階の寝室の方からドアを開ける音が聴こえて、床を歩く足音がする。
そして母が言ったように、父がパジャマ姿のまま玄関に現れた。下駄箱から出した長靴を履くと、ゴム手袋をして収納箱からシャベルと洗面器を出す。
その表情は夢遊病者のように虚ろで、白くなった髪はボサボサである。
僕はその父が玄関を出て姿が見えなくなってから、忍び足で階段を降りて靴を履いた。
その際、母がリビングのドアを少し開けてこっちに手を振り、「お願いね」と口パクで送り出された。
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