ババンババンバンバン

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ババンババンバンバン

そして、ガクブルの小田切榮は、未来の夫と共に恐怖アパート「いざなみ」に入り込んでいた。 ふっ消し婆に携帯を消され、色々なところに現れる明美に取り巻き達は引き摺り込まれていった。特に苧環(おだまき)は酷い消え方だった。 そしてついに、小田切は印鑑を書類に押印し、ポストを探していた。 何なんですの?ホーンテッドパレスはぶち破られた壁の穴が広がって危険な為営業中止になるわ、恐怖アパートは重鎮気絶の宣伝文句で異様に活気付くは。散々ですわ。 特に田所紀子!文化祭で何があったかは知りませんがやりきった顔しくさってええええええええ!狐霊堂学園の女王は私なのよおおおおおおおお!おまけにポストどこいったあああああああああ!あったああああああああああああああああああ!何で三階の廊下にポストがあるんですの?!不便ですわあああああああああ!まあいいですわ!来客数はおかしな不正で完全に負けましたけど、これで!この書類を投函すれば、私の勝利ですわあああああああああああああああああああああああああああ!!! 適当な封筒に三つ折りにしてポストに投函した。 手紙が、物凄い力で引っ張られ、こらえようとして引っ張られて小田切はポストにガツンとぶつかった。 「き、きいいいいいいいいい!」 必死で堪える小田切、支えて引っ張られた宗春。 二人は、ポストの投函口の先、真っ暗なポストの中を見た。 闇の中で、こっちを見つめる目が見えた。 黒目が異様に大きい、死んだ者の目は、はっきりと二人を見つめていた。 ポストに、無数の手が生えた。その手はどこまでも増殖していき、アパート全体にまで及んでいた。 「き、き、きいいいいいいいやあああああああああああああああああああ!!!!」 やがて、数えきれない手が二人をもみくちゃにしていった。 「最後はこれか。ドリフみたいなオチだな」 嫁の腰に手を回したインチキ教師は言った。 「ありったけ掻き集めたのよ。この恐怖系胴上げの為に」 紀子は言った。 「いいいいいいいやあああああああああああああああああああああああああああああ!!もう沢山ですわあああああああああ!!」 「風呂入れよ」 「歯あ磨けよ」 「また来週」 誰かが言った。フナ侍と知っているのはプロデューサーだけだった。 遠のく意識の中、小田切榮は、喧嘩を売る相手を間違えていたことを悟っていた。 「俺じゃなくてよかったぜ」 いいところが全くなかったライルがシミジミ言った。 果たしてそうかな?この裏切り者が目にも見よ。 紀子は邪悪な思いを抱いていた。 その邪悪さがどういう形でライル・グリフィス・コティングリーを襲うのかは、また別の話になりそうだった。 翌日、葦原美鈴と紀子のデュオは多くの観客を魅了し、チケットは完売。勘解由小路と田所紀子の完全勝利で、今年の文化祭は終了したのだった。 了
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