排泄物敗北

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排泄物敗北

学校は体育の時間だった。男子はバスケ、女子はバレーをしていたのだが、真面目にやっている女生徒はほぼいないと言ってよかった。 ボールを受け取ったウェイトリー・猫はコートを巧みに斬獲し、すっ惚けたようなパスを放っていた。 受け取った影山は、ボールを受け取ると即跳躍し、相手ゴールコートにボールを叩き込んだ。 「ハーフラインから飛んでメテオジャムかましやがった。あのヤモリ野郎」 隣のコートでディフェンスに回っていたライルはそう呟いた。 「猫さんはいいポイントガードだ。だがどうせ注目されてないだろうが」 小鳥遊はきっと勘解由小路を盗撮しているに違いなかった。恐るべき女媧の力をそんなことに使っていた。 あと1分で対戦相手交代だった。ブザービーター代わりに猫は超ロングシュートを決めた。 「よし!交代だ。軽くひねってやるぜ。あんな黒ヤモリ」 何だか妙に敵愾心を抱いているようだった。 所詮体育の授業にフォーメーションもへったくれもないのが普通であるのだが、ライルは影山さんにボックスワンでマンツーマンディフェンス、完全に張り付いていた。 「攻めてこいよヤモリ野郎。人間様に敵うと思うか」 「人間社会を学ぶに当たって、お前のような存在に対するあしらい方を学んできた。お嬢様は言った。お前のような存在はーー」 「知るかよこらあ!」 激しくぶつかり合い、吹っ飛ばされたライルは尻餅をついていた。 ホイッスルが鳴った。影山は手を差し出した。 「反則ギリギリで構わんからどっちが上か解らせてやれと」 「うるせえ馬鹿」 ライルは影山を見上げて言った。 物凄い鬱陶しい敵愾心は隠しようもなかった。
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