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「少しでも……償う為です……」
ミサトは女性の言葉に戸惑った。
「償う……? 貴女方は精一杯やってくれました。それなのに……」
ミサトの言葉に強く首が振られる。
「違うんです! ……ごめんなさい……ごめんなさい……!」
ついに女性は顔を覆って泣き崩れた。
ミサトは何が何だか分からないまま、慌てて周りを見回す。
「あの……大丈夫ですか? 落ち着いて詳しく話して下さい」
長い沈黙の後、彼女はゆっくりと語り出した。
「あの日……彼が運ばれてきた時、確かに出血はありましたが脈拍、心拍数共に落ち着き始めていたんです。でも……」
女性の声が震える。
「そこに……キョウジ先生が来たんです。
キョウジ先生は当直の医師に交代する様に言って、自分が診察を始めました。
そして……
すぐに彼の脈拍が乱れ始めて……明らかに興奮状態にありました。
キョウジ先生は必死に『落ち着け!!』と制しようとして……そうしたら突然、吐血して……暴れた拍子に折れていた肋骨が肺に刺さったんです。
心臓マッサージも出来ず……肺に酸素のチューブを挿管して呼吸を確保するのがやっと……そこに貴女が駆け付けて……その直後に亡くなられたんです……」
彼女の話を聞きながら、ミサトは全身が震えるのを感じた。
「それって……」
女性はわずかに躊躇した後、真っ直ぐにミサトを見つめて言った。
「私……あの時に聞いてしまったんです。キョウジ先生が彼に『ミサトは俺が貰う』と言ったのを」
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