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「そうだ。忘れないうちに」  突然起き上がった海斗くんがバッグから何かを取り出した。 「先月の終わりに連絡もらって取りに行ってきたんだ」  身体を起こしたオレに差し出されたのは小さい紙袋。そこには店の名前が印字されていてすぐに何かわかった。 「指輪……」  なかにはお揃いで注文してあった、古銭で作った指輪が入っていた。 「俺も持ってきたんだ。一緒につけようと思ってまだ指には通してないんだけど」  指輪を取り出して海斗くんの持つ指輪と並べる。 「カッコいい……写真で見るのよりもカッコいいね」  白く輝くそれは、およそ古銭に見えないくらいに綺麗で、だけどそこに刻まれている模様は本物でとっても渋くてカッコよかった。
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