午前3時の幽霊

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 俺は曲作りの後、信号待ちをしていたところ、突風に煽られて建設中のビルの足場の一部が崩れ、その下敷きになったのだそうだ。  しかし、全身あちこち骨折し、内臓が一部損傷したものの一命を取り留めた。脊椎には異常がないため、骨が繋がれば歩けるようになるだろうということだった。  翌日には酸素マスクも外されて少し楽になった。 「……大輝っ……」  ミディアムくらいの黒髪をセンターで分けたスタイル。大学に入っても昔から変わらない髪型だ。白い肌が黒髪に映える。今改めて見ると、綺麗な顔だなと思う。 「……颯太」  今日は容態が安定したため、両親には一旦帰宅して休んでもらい、その間両親に頼んで颯太を呼んでもらった。話さなければならないことがあったから。  黒い瞳を潤ませて、ベッドの傍にある椅子に腰を下ろした。眠れていないのだろう。目の下に隈ができていた。 「心配掛けて、ごめん……運び込まれた時来てくれて嬉しかったよ」 「全然いいよ、そんなの……大輝が、無事ならそれで……」  本当は知らないはずの姿を俺は思い浮かべることができた。集中治療室の前で必死に手を組んで祈っている姿を。両親と颯太の姿を見て、俺は絶対に死ねない、生きてやると思った。その場面以上のものは、何も思い出せないのに。
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