其ノ恋、一回壱萬円也

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 季節は廻り、新しい春を迎え、麻希は卒業した。  厳かな式典。  清らかな卒業歌。  最後のHR。  何もかもが、淡々と過ぎてゆく。  そして全てが終わった後に、一真は魂が抜けたようにデスクに座っていた。  終わり、か?  佐倉とは、もう二度と会えないのか?  あの身体を10000円で抱く、奇妙な契約も終了か?  そんな折、一真の携帯が鳴った。 「一真先生、今夜来るからね」  佐倉!  思わず声を上げそうになるのを必死で飲み込むと、一真は小声でたしなめた。
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