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晴彦の思いと過去
「で、お前は?」
「え何が?」
「お前は?なんで俺のことすきになったの?」
「えっ!?」
「話の流れ的に晴が言う番だろ。」
「ええっ〜」
「どうして好きになったのか聞かせろよ」
お前の気持ち、俺もちゃんと知りたい
「それ、言わなきゃダメ……?」
「当たり前だろ。俺も言ったし聞きたい。」
「ううーん。その凛は話を聞いて幻滅しない?」
「しない」
「絶対に?」
「俺を好きになったきっかけを聞くのに幻滅するかよ。」
「うん。凛ならそうだね。それじゃあ…聞いてくれる?」
「あぁ。」
「そうだな……何から話せば良いかな」
晴は、まだ少し不安そうな顔で俺に言うのを躊躇っているようだった。
「なぁ晴。」
「ん?」
「俺はお前の前で沢山幻滅して良いくらい彼女の話とかをした」
「…うん。そうだったね。」
「だけど。お前は俺を好きでいてくれた。俺もさ、お前のどんな話を聞いたって嫌いにはならねぇよ。無理にとは言わねー。けどそれだけは理解して欲しい」
「…っ…うん…ありがとう凛。正直言うの迷ってた。なかなか自分が昔から男が好きだなんて。言えないだろ?」
「…そうだったのか?」
「ん。幻滅した?」
「いや。恋愛なんて他人が口出すものじゃないし、好きってさ理屈じゃないから幻滅しねぇよ。」
ただずっと一緒に居たのに知らない事もあったのだ。幻滅するなら自分自身にだ。
「やっぱ凛は変わってないね。」
「?……変わってない」
「そ。変わってない。覚えてる?入学して直ぐにグラウンドでとある男子がゲイだろ?って弄られてたの」
「そう言えばそんなこと合ったな…俺が仲裁に入った奴。なんで知ってるんだ?」
「あれ、弄られたの俺だったの」
「えっ。だとしたら腹はずいぶん変わったな」
「うん。凛に近付きたくて頑張った」
俺の記憶上の弄られた男の子は、髪は黒髪のボサボサ、メガネにちゃんと制服を着こなした男子生徒だ。
今の晴は正反対と言っても良い。あの時とはかけ離れた茶髪の髪。メガネもしていない
「……ずっと友達がいう可愛い子とか見ても全然分からなくて、あの日も女子の話になったんだけど、俺どうしても話についていけなくてさ」
「うん。」
「きっと軽い気持ちで言ったんだと思う。ある一人の男子が、晴って実はゲイだったりして。って言ったんだ。」
それは俺も覚えてる……帰ろうとグラウンドを通ったときに聞こえた言葉だ。
「まわりのやつも、今までの俺の反応が薄いから、前から俺も思ってたって便乗して。ゲイとかあり得ないって笑われてさ。」
「うん。」
「俺、内心傷ついてたんだ。やっぱそうだよなって。男を好きだなんて可笑しなことだよなって。」
「……」
「でも、凛があの時さ…ふざけんな。恋愛なんて、その人の自由だし他のやつに口出される筋合い無いだろって。」
少し懐かしげに話す晴に俺もあの時の事を思い出す。
ただ単純にどうして他のやつに恋愛の事で口出されなきゃいけないのかと思った事をそのまま伝えたあの日の事を。
そのあと、一人の男子が俺に向かって言った。お前も好かれたら嫌だろ?と。
だから俺はこう言った。
だから?好きになってくれて逆に嬉しいだろ。異性を好きになるって勇気が要るし、正直怖い。それでも好きって思ってくれてるんだから。と。
「俺、すっごく救われた。こんな俺でも好きになって良いのかなって。やっぱり好きって気持ちは止められないし、そんな気持ちを認めてくれる人が一人でも居るなら頑張ってみようって」
「うん。」
あの時の怯えたような小さな子はもういない。晴はこんなにも強くなったんだな。
「最初は真っ直ぐ自分の意見を言える凛と仲良くなりたかったんだ。でも、気づいたら目で凛を追ってた。」
「全然気づかなかった。」
「うん。知ってる。それに彼女居たしね。それでも相手の事を思いやる凛を見てたら好きって気持ちがいつの間にか、こんなにも溢れてた」
「そうだったんだな。」
「うん。」
「ずっと思っててもらえた俺は幸福者だな。ありがとう晴。」
「えっ…お礼言われるような事してないよ」
「いや、彼女居ても居なくてもずっと好きで居てくれたんだろ?」
「うん……」
「やっぱ有り難いことだなって。」
「こっちの台詞だよ。好きになってくれてありがとう。」
「なんか照れるな……」
「だね……」
こうやって晴の話を聞くとやっぱり知らない事ばかりだった。
晴の話を聞くだけでもっと愛おしく感じる。10年後も晴がこのままずっと居る世界を作ろう
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