お泊り

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お泊り

二人で手を繋いで遊園地から出るとまるで夢から覚めたかのような気分だ。 晴はまだ高揚しているのかずいぶん楽しそうに俺の手を振り回しながら前を歩く 「観覧車からの景色すごく綺麗だったね。」 「あぁ。なかなか見れない景色だったな」 「うん。」 夕焼けから暗闇に包まれ遊園地の明かりがまた、幻想的で綺麗だと凄く思った 「ねぇ凛。俺きっとずっと今日の事忘れないよ」 「急にどうしたんだよ?」 言葉の言い回しに俺は少し不安になる。あと3日で晴は消えてしまうのだから 「なんかさ、楽しい事って忘れちゃう事が多いじゃん?逆に辛い事とか悲しい事の方が記憶に残りやすいけど、今日の事は絶対忘れたくないなって」 どうやら晴は俺との一瞬一秒を大切にしてくれるようだ。 そのことを知り俺は心からこんなに自分を大切に思ってくれる晴が愛おしいと込み上がる 「そうだな。俺も忘れたくないよ」 お前と過ごした大切な時間なのだから。 一分一秒。俺だって忘れたくない。 「日記に細かく書いとこうかな!そうすればきっとずっと残る物だから」 「それは良いな。」 「でしょ?早速家に帰ったら書かなきゃ」 二人がいつも別れる道まであと少しか… まだ俺はお前と一緒に居たいだから… 「あのさ。晴」 「ん?」 「俺の家に泊まりに来ないか?親父もいない事だし」 「………」 「それにまだ一緒に居たいって思ってるんだけど…晴?聞いてるか?」 「…へ?い、いや。今なんて?」 「だから、俺の家に泊まりに来ないかって」 「あー。うーん」 暗闇でもわかるくらい何故か晴は赤い顔をして何かを考えてるようだ。 何故そんなに渋るのだろうか 「もしかして、嫌だったか?」 「そんな訳ないじゃん!それは絶対に無いよ!」 「じゃあべつに良いだろ?行くぞ」 「えっちょ。まだ心の準備が!」 「準備も何も親父居ないから安心しろって」 「そう言う問題じゃないよ!凛のバカ〜!」 なぜか俺の家に泊まりに来るだけなのに、ぐずる晴を俺は無理やり手を引き自分の家に続く道へと歩みを進めた
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