24人が本棚に入れています
本棚に追加
何とも便利な世界になったものだ。
ちょっと不便なタイムマシーンなんてものが本当にできるなんて、誰も思わなかった。
だけどそれが今俺の前に実在しているのだ
「この度は当選おめでとうございます。桜木凛様でお間違い無いですか?」
「はい」
過去に戻れると言う何とも怪しいキャッチフレーズ。
だけど本当に戻れるならと神にも下がる思いで俺は参加を申し込んだ。
そしてある日、俺の家に政府から封筒が届いたのだ。内容はタイムマシーン当選の連絡だ。
最初は新たの詐欺では無いかと疑ったものだ
実際にタイムマシーンを目の前にすると当選した事を改めて実感する。
「お待ちしておりました。私、案内係をしております三宅と申します。よろしくお願います」
「どうも」
「桜木様の目の前にあるのがカプセル型のタイムマシーンになります。」
「これに入るんですか…」
「はい。」
本当に過去に戻れるのだろうか。
そんな不安が漂うくらい、ふつうのカプセルベットの様なものが目の前にある。
これがタイムマシーンらしい。
「カプセルに入る前に本人確認と注意事項の確認を行います。注意事項は読んでご理解の程よろしくお願いします。」
「読んできました。大丈夫です」
「それは良かったです。ではこちらを」
そう言われて渡されたのが、リセットボタンに、帰宅ボタンだ。
贅沢だな。とちょっと思うが。いざ過去に戻るとなると、とても大切なボタンだ。
「では、本人確認のためもう一度名前、年齢、身分証明書の提示をお願いします」
「はい。桜木 凛28歳です。」
「桜木さま28歳で。身分証明書お預かりします。」
「どうぞ」
「問題ありません。ではカプセルの中へ。」
「はい。」
カプセルの中はとてもフカフカしていた。下はどうやらクッション生地のようだ。
外見とは違い中には見たことのないような線や、機械が取り付けられている。少しだけ不安だ。
「桜木様はどちらまでご希望ですか?」
「……10年前の10月1日に」
「そちらに設定させて頂きます。」
本当に過去に戻れるのだろうか。そんな疑問が生まれる
そうこう考えるうちに準備が整っていった。
「準備が整いました。貴方の後悔が少しでも消えますよう検討を祈ってます。行ってらっしゃい」
この日が来ることを、どれだけ望んだだろう……
お前にまた会いたい。
本当にあの時の自分に戻れるなら、絶対、もう2度とあんなことしない。後悔しない選択を……
ふわふわと眠気に身を任せ目を閉じた
最初のコメントを投稿しよう!