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「はは笑今更だけど照れるな」
「ん。そうだね…あのさ。つ、付き合うって事で良いんだよね?」
「ん。晴が良ければ俺と恋人になってよ。」
「勿論…。はぁ〜どうしよ…夢かも知れない」
顔を隠して呟く晴の姿に愛おしさがます。
「良かった……これで、恋人同士だな」
「~ッッ。本当その笑顔反則…すぎるでしょ」
「ん?」
「な、何でもない……はぁーでも、早速遠距離かぁ……堪えるなぁ」
「あーそれだけど、俺。こっちに居ることにしたから」
「………は?えっ!?」
「お前と離れるなんて、俺が無理」
「っっ!!いや何それ……凄く嬉しいケド…でも、凛の親許してくれたの?」
「あぁ。許可は取ってある」
「そっか……やばい本当に嬉しい…」
「………ん。俺も」
数時間前、俺は晴が来る前に一緒に引っ越す予定の父に残りたいと話した
『で、どう言うことだ……一週間こっちにいたい理由は?』
『やり残したことがあるんだ。一週間だけこっちにいたい。』
『理由は?』
『…後悔をしたく無いんだ』
『そうか……お前がそう言う顔をしていると言う事は、理由を教えてくれなそうだな』
『ごめん…ただ言えるとしたら、一週間守りたい人が居るんだ』
『そうか……分かった。そこまで言うなら後悔しないように。一週間頑張りなさい』
『ありがとう父さん!』
そう約束したのは一周間……晴には言ってないが実際の滞在だ。
『そうだ。父さん。今更だけどさ、いつもありがとうな』
『なんだよ急に。気味が悪いなぁ。明日雨でも降るんじゃないか?』
『な!?酷いな。たまには良いだろ?』
『まぁな』
いつもは言わない台詞。28年間ずっと言いたかったけど、言えずにいた言葉。
うまく伝わっただろうか。。
この先はきっと言う事は絶対に無いだろうから
『本当日頃の感謝を込めて言っただけだから』
『それは有り難いことだな。凛からそんな言葉聞けるんだからな。今日はいい日になりそうだよ。じゃあ父さんは先向こう行ってるから』
『あぁ。』
『頑張れよ……凛。父さんもお前の事凄く大切に思ってる。』
『……っっ』
あぁ。やっぱ流石俺の親だなって思う。こんな言葉始めて聞いた。
何かいつもと違うことに感付いているのだろうか。
何も親孝行出来なくてごめん。何も伝えられなくてごめん。男手一人で育ててくれた父さんには、感謝しきれない。
未来で俺は晴が亡くなったと知らされたとき、返事もしない。ご飯を受け付けない。とても迷惑な息子だっただろう。
それでも、父さんは何も聞かずにご飯を出し、返事をしない俺にいつも通り接してくれた。凄く感謝している。
やっぱ父さんには勝てないな。そう思った。
『父さん……お世話になりました』
もう。聞こえていないだろう。それでも……俺は心から感謝を込めて。閉まった扉に向かってお辞儀をした。
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