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デートコースは定番で
「凛?」
「ん?」
「…いや、何でもない。」
「そうか」
晴も本当は言いたいことが沢山有るだろう。そう分かるくらい何か言いたそうな顔だった。
晴によると俺はどうしても感情が顔に出てしまうらしい。
だけど俺は、けして口に出さないし、本当に困った事なら口に出す。それを凛はいつも理解して俺が言うまで待っててくれる。
今更ながらに思う。そう言う晴の優しさも俺は大好きだったのだ。
「そういえば凛。」
「ん?」
「凛が引っ越さないなら今日暇じゃない?」
「あー。うん。暇だな…」
「あのさ。俺も暇なんだ。だから凛がよければ何処かに出かけない?」
「そうだな。記念日だしどこか遊びに行くか」
「えっ…本当に良いの?」
「あぁ。」
「嬉しい。やった!行く。凛大好き!」
「大げさだな笑」
「だって嬉しいんだもん!ねぇどこ行こうか?」
「うーん。そうだな。じゃあ。今日は晴が行きたいところに行こうぜ」
「えっ。俺の行きたいところ?」
「そう。」
「うーん。一つあった!行きたいところ。」
「じゃあ今から準備して行くか。」
「うん!案内する」
そうして、はしゃぐ凛と二人で久し振りに電車に乗る。
近づいてくる建物を見て、目的地はもしかして?とは思ったが…
「で、何で初デートが遊園地なわけ?」
「えっデートと言えば遊園地って鉄板でしょ」
「…………」
確かに遊園地は鉄板。だけど男二人とういう所が妙に浮いている気が
「それに、映画とかカラオケなら二人で行ったこと有るし、水族館も修学旅行で行ったしさ。もうあとすることなくない?」
「そう言われればそうだな。」
いろいろ行ったな……と思いを巡らせる。
どの思い出も今となっては凛とした事。楽しかった事しか記憶にない。
だから楽しいこの時間が永遠に続けば良いのに……なんて叶わぬ願いをしてしまうんだ
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