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第2章
《明治大正》
薩長土肥の官軍による軍事政権が、明治政府です.
明治政府が、国家を支配しました.
明治天皇は維新に巻き込まれてビックリしただろうが、天皇の権威が明治政府の正当性を支えました.
武士層だけではなく、平民全体に対して徴兵を開始するには、国民にも天皇の権威を信じさせる必要が出て来ました.
天皇の赤子たる臣民は、天皇のために兵隊になって戦えと教育したのです.
国家神道がまるで日本の伝統であるかの如き様相を呈していました.釈迦とか基督とかの権威が天皇の権威を超えては政権運営に支障をきたすので、宗教は弾圧されました.
首都をなぜ東京にしたのでしょうか.薩摩だって長州だって西日本の出身なんだから、京都か大阪の方が利便が良かったと思いますけどね.不思議です.
《戦前》
段々と明治の元老がいなくなる隙をついて、軍部が国家を支配するようになった.
昭和天皇は、ロシア革命にショックを受けていました.革命が起きたらロマノフ王朝と同じ運命を辿ると考えて、防共思想に染まりました.そこに軍部が付け込み、天皇の権威を利用して議会や政党を抑えて、軍部の権益拡大を目論んだのです.天皇はソビエトに怯えて、軍部の満州進出を諒解し、対米戦争中も自身の延命を図る目的で講和を先送りし、何百万人の国民の生命が犠牲になった.
《占領期》
マッカーサーが来日すると、駆けつけて行って握手した.
進駐軍に占領の正当性を与える見返りに、自身の保全を確保した.責任は東条以下二十数名が負いました.
マッカーサーに昭和天皇が挨拶しに行った写真は、新しい支配者は進駐軍であることを国民に認識させた.
日本の植民地化を正当化するために、進駐軍は天皇の権威を利用した.進駐軍は憲法を米国の都合よく改正すると共に、米国産小麦粉を日本に売り込む目的で製粉会社の後押しをした.やがて米の消費量は減り、鯨を食べなくなりました.代わりにパンや米国産牛肉を食べるようになりました.
《現代》
サンフランシスコ講和条約締結後、日本の占領は終了したことになっている.
しかし在日米軍が日本の支配権を持つことは、占領下の日本と変わりはない.その正当性は天皇の権威が支えている.
在日米軍の支配の構造は、巧妙です.
国民との間に傀儡政権を入れて、国民の眼から在日米軍を見えなくしているのです.
日本国政府は、米国の意向に従って物事を決定しています.
政府高官は、米国政府の代理人なのでしょうか.基地、原発、貿易、海外派兵、あらゆることが、米国の世界戦略の範囲内で決まっていきます.
米国政府に楯を突いたのは、鳩山由紀夫くらいでしょうか.結果は御存じのようにボコボコにされましたけどね.
《これからの時代》
遅かれ早かれ、共和制になると思う.
国民の中から選んだ大統領によって、国家運営が行なわれる時代が来ます.
共和制へ移行し、共和国防衛軍を持ち、近隣国と平和条約を締結し、在日米軍による占領に終止符を打ったら良いと思う.その上で国際的に軍縮を進めたら良いと思いますけどね.
国民自身の権威で以って、大統領に正当性を与えればよい.国民が選ぶ大統領は普通の人なので、間違う事はあるでしょう.間違ったら訂正すればよい.
国家を運営していく上で、天皇の権威が必要な時代は疾うの昔に過ぎたと思う.
天皇制のもとでは、官僚は天皇の官吏であり、官僚の間違いは天皇の間違いとなる.神である天皇の無謬性に傷が付くと、権威が失われる.そう云う国家体制の下では、官僚は間違うことが出来ません.全滅を玉砕と言い換えたり、記録を破棄したりして、保身の為に間違いを誤魔化すのは当然でしょう.そもそも大臣という名称は、天皇の家来と云う意味です.国民主権を明確に表すには、長官という名称に替える必要があると思います.
《元号について》
旧暦を廃止して西洋歴の月日を使用しているのに、元号だけ制定して日本の伝統であると言い張る目的は何なのだろうか.
選挙違反をしても、改元の時には恩赦がもらえると考えているのだろう.それ以外に元号の使い道は、思い浮かばない.
《女系天皇》
天皇が自分で決定すればいいと思う.
皇室典範だの、皇室会議だの、臣下に命令されることはないだろう.臣下が輔弼するとは、結局臣下の命令に従うと云うことですよ.主従が逆転していると思いますね.
明治憲法だって、まさか平民の血統が皇統に入るとは想定していない.出自が平民に連なる天皇を新しい伝統だと認めながら、女系天皇は伝統に則っていないと云う主張に誰が納得しているのだろうか.
そもそも伝統が大事であるなら、京都御所に戻って大和朝廷を再興したらいいと思いますけどね.江戸城に住んで東京弁を話す必然性はありません.
京都御所で、自由に勅裁すれば済む話だと思う.
《天皇の権威の源泉》
国家を支配するには武力が必要であり、武力だけでは単なる暴力であるが、権威が加われば権力となる.
暴力と見なされれば人々は納得しないが、権威の後ろ盾があれば、暴力が権力となり、人々が従う.
そこで支配者としては、どうやって権威を得るのか、と云うことが問題になる.
古代の豪族では天皇家に連なる物語、源氏平氏では万世一系の物語、戦前では臣民は天皇の赤子であると云う物語.
これらの物語が天皇の権威の源泉である.
しかし人間宣言は天皇の権威にとって如何にも拙かったと思う.
只の人では権威も何もあったものではない.天皇制を続けるのなら、現人神に戻る必要があると思う.なぜ、宣言を撤回しないのだろうか.
《尊敬語と謙譲語》
尊敬語と謙譲語の主たる機能は、社会の中に身分の差を作り出すことです.
皇室報道には、丁寧語を使えばいいと思います.
《国民の公僕か、天皇の官吏か》
大臣も官僚も、公僕であることが嫌なのだろう.
国民に奉仕するのが嫌なのだろう.国民主権が悔しいのだと思います.東大を卒業した高級官僚は、国民ごときに何故頭を下げなきゃならんのか、と思っているのでしょう.
大臣とは、天皇の家来と云う意味である.
大臣も又それに仕えている中央省庁の官僚も、天皇の家来でありたいのだろう.自分達は、国民を支配していると思いたいのだろう.そしてその正当性を天皇の権威に求めたいのだと思う.
しかし、これからの時代に於いて、天皇に権威が備わっていることをどのようにして一般国民に信じさせるつもりなのだろうか.
大半の国民は源氏でもなければ平氏でもない.もう一度、教育勅語を暗記させるつもりなのだろうか.そうかも知れない.
《移民政策》
海外からの移民は、天皇家と縁もゆかりもない.
海外にルーツを持つ国民が増えたら、天皇の権威が揺らぐと思う.
移民政策は天皇制の存続にかかわる重大問題である.
そう云う理由で、日系人を除いて、政府は移民を受け入れないのだろう.
(了)
《追記》
余談ですけど、イギリスの王室とかも廃止して、共和制にするように内政干渉をしたらいいと思います.色々な国に色々な特権階級があると思いますが、そう云うものは、もうやめる時代だと思うんですけどねぇ.
あとそれから、軍縮ですね.軍縮するように各国の内政に干渉したらいいと思います.安全保障理事会の常任理事国なんて揃って、軍拡一辺倒じゃないですか.まともじゃありませんよ.そう思いませんか.
以上です.
《奥付》
題名:天皇記号論(ベータ版)
著者:茜町春彦
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