高飛車でうざい男

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高飛車でうざい男

「俺がキミの好きな男になってやってもいいぞ」 彼は高飛車だ。 相変わらずの上から目線男。 イケてるのは、憎らしいほどに整った顔の作りだけだ。 性格は、少々難あり。 「なっていただがなくて結構です」 「なんだと?断るのか俺のベストな提案を」 彼は真夜中に高級車で私の住むマンションの下までやってきた。 まず、一人暮らしの女のところへ真夜中にやってくる神経を疑う。 「ベストですか?私にはそうは思えなくて……大体、へんですよ。『私の好きな男になってやる』って私の好きな男に、どうやってなるんです?」 「それを今から聞くところだ」 「今からって、遅っ」 「さあ、言ってみろ。聞かなくてもある程度予想は立てられるが、一応聞いておこう」 聞いてやろうって風に腕組みして薄笑いを浮かべる彼は、いつでも自分中心に世の中をまわしたい男だ。 「わかりました。好きになれる男の概要を言いますね。 気を使わないで一緒にいられて、価値観の似ている人がいいです」 「あとは?」 「それくらいです」 「ふんっ、予想通りだ。まさに俺みたいな男だな」 どこが。 全く彼とは違う。真逆だ。 「は?あの……ちゃんと聞いてました?」 「聞いていた。他に外見とかの希望は?」 外見にはこだわらないと言いたいところだが、やはりイケメンであるにこしたことはない。 「外見はですねー」 「俺の好きなタイプはだな」 彼は、いつだって食い気味に自分も口を開いて相手を黙らせてしまう。 全然聞く気ないんじゃん。 いつものことだ。彼は、自分の進めたい方向に話を持っていきたがる。 大体、この人は休日の夜中に部下の所へきて何がしたいのだろう。 「背が低くくて、鼻は少し大きいが、目は澄んでいる。髪は馬みたいな栗毛色で長い。性格は、短気でおっちょこちょいだがなんとも憎めない…そんな女がいたら、俺はきっと愛さずにはいられないだろうな」 聞いてもないのに自分のタイプをベラベラとまくし立てるのもいつも通りだ。 だが、鼻が大きい?そんな女が好みなの? やばっ、やっぱ変わってる。 しかもおっちょこちょい? いわゆる天然が好きなのか。 それでいて、背が低くて栗毛……。 若干嫌な予感がしてきたんだけど。 彼は大きく動いて私の前に立った。私の顔を覗き込むように身をかがめる。 「おやっ、木庭くん。キミは俺の理想にドンピシャじゃないか。いたんだなーこんなに近くに」 つい自分の鼻に手をもっていき、掌で覆っていた。 やだっ、そんなに言うほど大きいの?私の鼻って。 失礼な男だ。 確かに大きいかもしれないが、言われるほどとは傷ついた。 ありえないほどにデリカシー知らずな男だ。
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