高飛車でうざい男

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「あのうー社長」 はっきりさせたかった。 毎日のように社長からあの手この手で告白されて断るのが、正直いって、きもいし、面倒でうざい。 整った顔も、無駄だ。 イケメンとはいえ、社長は無駄なイケメンで、なんならキモいイケメン。 略して、『キモイケ』だ。 「どうした木庭くん」 「さっきから無断で私の頭をなですぎです。やめてくださいよ」 社長は、やたらとスキンシップが多い。 セクハラだと騒ぎたくないが、鳥肌ものだ。 「どうして?女子は頭を撫でられるのが好きだろ?俺も木庭くんを沢山喜ばせたい」 「いや、あの撫でられすぎるのは全然よろしくないので」 『キモイケ』になでられすぎて髪がなくなりそうだ。 「木庭くん、恥ずかしがらずに俺には言えばいい。他にも撫でられたいところはあるのか?例えば」 社長は私の全身を眺めだした。 おーーっきたっ、ゾッとする。 イケメン社長でも私は社長みたいな口から産まれたような口達者で、手も達者な男は好きじゃない。 社長と私の間に重くて黒いカーテンをつけてほしい。 社長が2度と私を見られないように。 「いえっ!社長に撫でられたい願望はありません」 「そう?我慢しないで言って。いつでも俺は木庭くんのことを撫でたり触ったりしてでも喜ばせたいから」 いやらしさと煩わしさ満載! どうしたら、この社長は私から手を引いてくれるのだろう。 そうだ。 私は、出来ることから始めようと決心した。 このままだと、キモイケ社長の『キモイケお手つき社員』という残念な烙印を押されてしまうし、結婚もできなくなってしまうだろう。 お遊びには付き合ってられない。 何しろ、社長の秘書をしている関係で社長の女性遍歴はどの社員よりもよく知っているつもりだ。 社長から言われて花束も星の数ほどの女性に送った。 誕生日プレゼントもそうだ。 何百という女性の影が付きまとう男、それが社長なのだ。 あれだけ女がいたのに、最近社長は私にやけにアプローチしてくる。 そんなわけのわからない社長に私は、いちいち付き合っていられない。 何回も告白されたからと言って、情にほだされ付き合う羽目にでもなったら我が身の破滅だ。 その上、飽きられて捨てられでもしたら……。 仕事も失くして、すぐに路頭に迷うことになるのだ。 再就職、それだけは避けたい。 今現在私に与えられた試練は、このキモイケ社長だ。 社長の告白をどうにか穏便に断り、平凡な幸せを目指して生きていきたいだけだ。 それには、どうにかして、この試練を乗り越えないと!
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