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村人が男の家を訪ねなくなって久しくなった日、ある女が男の家を訪ねました。
そして、子どもの頃から不思議に思っていたことを訊きました。
「おじさん、どうしておじさんは本を燃やしちまったの?」
男は伸びて白くなった髭を撫でながら答えました。
「どうしてって、ああでもしなきゃみんな凍え死んでただろうが」
「そうじゃなくて、おじさんは本を燃やさなかったら今でもありがたがられてたのに、どうして?」
くりくりした目で不思議そうに尋ねる女に、ああ、と男は答えた。
「そのありがたい本に書いてあったのさ。困っている人がいたら、そうしろってね」
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