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私は女子として生きていきたいのに。
私は年頃になると年の離れた双子のお兄ちゃん達からベリーショートにするように強要された。あと空手を習うように・・・と。
私の両親は仕事が忙しく会わないことが多いくらいなのでお兄ちゃんたちが親の役割をしてくれていた。ご飯を作ってくれたり、風邪をひいたら看病してくれたり。友達が遊んでるとき、お兄ちゃんたちは私のために時間を費やしていたから私は何も言えないし、優しいお兄ちゃんたちのお願いは聞きたかった。
「お姫様の格好いいな・・・。」
私は女子更衣室で着替えながらぽつりと言う。
「なんか言った、輝?」
中学からの友達の真知が私の着替えを手伝いながら聞く。
私がこれから編入生歓迎会の演劇部主催の劇で王子役として出るためだ。
私は演劇部ではないけれど演劇部からの強いオファーに負けたため出ることになってしまったのである。
「輝、また胸大きくなった?ぱつぱつだし!」
「うるさいなあ・・・。」
出ないよ!と言うとごめんごめんと真知は笑った。
「あとでこっそり着ていいから。」
家で着れないお姫様の衣装を着させてくれること、ケーキ食べ放題をご馳走してくれることが条件で私は劇に出る協力をしたのだった。
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