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「はーい、輝王子のご登場です!」
真知が着替え終わった私を女の子たちの前に連れ出す。
「キャー!!!」
女の子たちは黄色い悲鳴を上げた、私に対して。
「本当に王子様だよ、少女漫画に出てきそうな。」
頬を染めて謎のハイテンションで言う子。
「一緒に写真撮りたいー!!」
べたべたくっついてくる子が一人現れるともう次から次へともみくちゃにされる始末で、
「・・・。」
なぜか私を見て泣き出す子もいて、
何、このカオスな空間。私がひとり、少しだけひいてると、演劇部の顧問の先生が現れた。
「ほら、あんたたち、散った散った!もう劇始まるぞ!」
男らしい、話し方をするけれど、見た目は小柄で愛らしい、菅先生が皆を私から引き離した。
「えー。」
文句を言いつつも先生の言ったことなので渋々言うことを聞いてくれた。…劇が始まる前に疲れ果てそうになるところだったので助かった。
「先生、ありがとうござ・・・。」
私がお礼を言おうとすると、先生は私に背を屈めるように手で訴えてきた。
「娘がな、竹下の大ファンだから後で写真撮らせてくれ。」
一枚でいいから!先生はこっそり言うと頼んだぞというように私の背中を叩いた。
「・・・・。」
いや、本当に何これ。
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