かぐや取物語

劇が始まった。
「ねえ、あの人が僕たちが探し求めてたかぐや姫？」
舞台の中心にいる王子役を見ながら可愛い系男子がそっと隣の男子に小さくこっそり聞く。
「あ？聞くまでもないだろ？」
こう答えるのは制服を大分崩し、胡坐をかいている不良生徒。
「そうですね、彼女を見たときすごく心が惹かれましたから。」
不良生徒の横に正しく体育座りをしている優等生が深く頷く。
「やっと会えたなぁ～。」
この学校に編入といっても新高校一年生だから、真新しい制服を着ているのが普通な中、なぜかくたびれた制服を着た生徒が微笑む。
「それにしても・・・。」
そう苦笑するのはこの男子たちの中で一番王子様の雰囲気を持つ生徒だ。

「俺たちよりもすっごいイケメンに生まれ変わったね、姫は。」