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「姫様、私とキスを交わし永遠の愛を誓ってくれませんか?」
たぶん、私は舞台とかお芝居に向いていない。こんな恥ずかしいセリフを片言のように言う私に観客から温かい視線を感じる。始まる前に劇の間は静かに見るようにみんなにお願いして守ってくれているけれど。女の子たちの熱い視線とは別に妙な視線も感じた。
「あいつ、女なのにめっちゃ王子じゃん。」
この学校の男子は私のことをよく思っていないのが何人かいる。話したこともない子にいきなりひどいことを言われたこともある。女の子たちが私をかばい、言い返したけれどそれがかえって、
「女に守られている王子。」
と、言われてしまった。・・・別に気にしていないけど。そう強がる。
けどその視線とはまた違うんだ。じめじめした視線ではなく、・・・うーん、夏場に溶けだした飴玉のような、ねちょい感じ。
「姫の胸・・・まじやばい。」
「長い間待ってた僕のご褒美?」
「あれ、すっごい胸しめつけてるよな?」
「窮屈そうだね。」
「イケメンだけど、体がとても女性的ってもう最高だよね。」
こんな目で見てる男子5人の存在はこのときの私は知らなかった。・・・まあ話してる内容知りたくないけど。
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