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乙女ゲームってなに?
真知は瞬足で戻ってきた。
「はい、どうぞ。」
真知が人数分のよく冷えたお茶の缶とパーティーパックのクッキーが載ったお盆を置く。気のせいかな。何の感情もこもっていないかのように聞こえたけれど。そして、真知の家にはよく遊びに行くけれど、缶のお茶を出されたことは
初めてだ。
「缶・・・。」
誠君がぽつりと言った。きっと誠君も友達の家で缶のお茶を出されたことないのだろう。別に缶のお茶が悪いわけではない。よく知るメーカーのよく冷えたお茶。十分なおもてなしだと思う。けど、私は、真知の家の麦茶好きだよ?
「誰が、帰った後のグラスの後片付けするの?」
妙に笑顔の真知が怖い。私は真知にどう声を掛ければいいか分からなかった。使ったグラス、私が片付けるよ。気を遣わせてごめんね。どれも違う気がする。そして何も言えなかった。
真知はとても優しい。そして私をただの同級生の女子として見てくれて対等に接してくれる貴重な友達だ。たまに過保護になるけれど、私を王子さま扱いしないところのポイントは高い。王子さま扱いする子たちはキャーキャー言って、まともに会話できないからだ。だから優しい真知を困らせることはしたくないのだ。
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