第1章:謎の電話

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第1章:謎の電話

「真弓は何してるんだろ…遅いな」 桜庭拓哉がテレビ台の上に置いてある 時計を見ると午後3時になっていた。 昨日遅くまで残業だったせいか ソファで寝転ぶ拓哉の身体には 倦怠感が残っている。 拓哉が2つ年上の彼女である滝本真弓と 神奈川県川崎市内のアパートで同棲生活を 始めてから約1年半経つが几帳面な彼女が 時間に遅れた事は1度も無い。 真弓は友達とランチを済ませた後で 午後3時半からスポーツジムの ヨガレッスンに参加する予定なので 着替えを取りにアパートへ 戻って来ると言っていたのだ。 「これじゃヨガレッスンに間に合わないな」 真弓の事を気にしながらテレビを 観ていると拓哉のスマホに 電話が掛かってきた。 「非通知設定だな…誰からだろう?」 電話の相手が誰か分からないのは あまり良い気分がしないものだ。 電話のコールを無視していたが 何度も非通知で電話が掛かってくる。 流石に嫌気がさした拓哉は電話に出た。 「もしもし、どなたですか?」 しばらく相手は無言だったので 電話を切り掛けた瞬間 「桜庭拓哉だな」 低くドスの利いた男性の声で 電話越しに名前を呼ばれた。
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