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出逢い
不自然なほどの輝きを放つ少女に
あの日、僕は生まれて初めて
「一目惚れ」をした。
「湊様、朝食のお時間でございます。」
「ん、あぁ。」
小鳥のさえずりにぼぅっと耳を傾けていた朝、使用人の佐藤がいつも通り僕を呼びに来た。まだ重い瞼をなんとか開き、素直に階段を降りる。
「おはようございます、お父様、お母様」
決まった挨拶をした後、食事が並べられたテーブルへと向かい指定の席に腰を下ろす。
複数の使用人に、シェフが用意してくれる豪華な食事...僕の家は俗に言う大金持ちらしい。とは言え、生まれた時からこの環境なのだ。特に優越感も無く日々を過ごしている。
「そうだ、湊。見せたいものがあるの。」
「見せたいもの?」
珍しく朝から上機嫌なお母様はそう言うと、僕に白い布が被さった何かを渡してきた。
「大きな額縁...。絵画、ですか?」
「えぇ、そうよ。昨日叔母様から貰ったの。とっても綺麗な少女の絵でしょう?」
「...」
その美しさに思わず息を飲んだ。
この時既に
僕は恋をしてしまっていたのだ。
麗しく輝く金色の髪の
絵画の中の美少女に___
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